メロンアイスへの愛

メロンアイス。
大好きである。
メロン味であれば何でもいい。
もちろん、メロンアイスのなかにも硬い序列はあるのだが、でもメロン味のアイスはどれをとっても美味しいのである。

特に、美味しさを世間にアピールしたいのは、とてもかわいらしいメロンの形をしたパッケージに入っている、メロンシャーベットふうラクトアイスである。
お値段およそ60円のやつ。
シャリシャリとしていながらもクリーミーな、あのうす黄緑の綺麗なアイス。

もう大分昔から存在しているそのメロンアイスは、一時絶滅してしまったかに思えたが、近年またその姿を見かけるようになった。
しばらく姿を見なかった時は、メダカを近所の川で見かけなくなったと同じくらいの悲しさを覚えたものである。

言っても私はこの世界に間借りをするようになって、そんなに馬鹿に長い年月が経っているわけではないけれど、それでも多少の昔は知っている。
その多少の昔、アイスといったら、銀色の包み紙にくるまれたミルクバー(あたりつき)か、このメロンアイスだった。
どちらも50~60円だったので、よくお小遣いで食べた。

メロンアイスは、食べ終わった後もそのパッケージで遊んだ。
砂場でも使えたし、家でゼリーを作って入れられたし、無駄にコップ代わりに麦茶を入れて飲んだりしていた。
薄い黄緑は、何を入れても美味しそうに見えないところだけが難点であったが、元をとれるくらい遊び倒して捨てたものである。

そんなメロンアイスを、先日久しぶりに見かけてつい買ってみた。
変わらぬ緑のメロン型容器。
幼少期のメロンへの憧れを思い出す。

やや小振りになっている気もするが、そこは原料高騰仕方がない。
見た目が変わっていないだけ十分である。

どうか味は変わっていませんように。
あの懐かしい、ちょっと嘘っぽいメロン味を想像しながら蓋を開けた。

なんとオレンジ色だった。
最近は、スーパーでも赤肉メロンが多くなってきたが、まさかこんなところにも現代性が投影されていようとは。
昭和が舞台のマンガに携帯電話がでてきたかのような淋しさを感じながら、私はそのメロンアイスを食べた。