この世で一番好きな食べ物は白米である。
あの世へ旅立つ前に食べたい最後の食事は、白米と味噌汁だと、現段階では思っている。
お新香は、あってもなくてもどっちでもいい、白米さえあれば。
いや、でも梅干は欲しいような気もする。
んてことはさておいて、おいしい白米についてである。
秋になると新米のシーズン。
スーパーマーケットで売っているお米にも、「新米」と書かれたシールが貼られるようになる。
もうこの頃になってしまうと、もともと大好きなお米が、さらに何を食べても美味しくって困ってしまう。
ちょっと前、日本全国のお米を食べ比べようと思い立ったことがある。
もちろん全国を回る旅費なんてないので、かわりに全国から買い入れてくれているお米屋さんに行くことにした。
さすがに何十種類も仕入れているわけでない小さなお店だったので、十種類くらいいろんな県の銘柄があるという位だったが、それでもスーパーでみかけないような各地のお米があった。
それにプロならではの、このお米は何の料理にむいている、というのを教えてくれるのでとても楽しい。
そこで、私は熊本と北海道のお米を2kgずつ買って帰ってきた。
北と南のお米が一時に買えるなんて幸せだ。
それを、それぞれ別の日に味見がてら炊いてそれだけで食べた。
どちらも美味しいお米だ。
つやつやだし、甘みも粘りもあって美味しい。
でも、私はどちらを食べても本当に美味しいだけで、正直食べ比べの違いが分からなかった。
これはどっちのお米?と聞かれても、途中でまた別の銘柄を混ぜられても、多分気づけない。
本当に、作ってくれた人からしたらおそらく拍子抜け間違いなしだろう。
でも、本当に美味しいと思っているということだけは伝えたい。
何を食べても違いが分からないのは、味覚センスがないのではない、全部本当に美味しいというだけのことである。
そういうことである。
とりあえず、新米シーズン、どう転んでもお米の美味しい季節で、私は嬉しい。