マイホームを購入することに決めた理由は、周りの人からのアドバイスが理由でした。
もともと住居にはこだわりが無かった私たちでしたから、安全に住むことができさえすればどこでも良かったのです。
でも、既に若くはなかった二人。
これから引越す可能性も特にありませんでしたから、思い切って終の棲家を考えた方が良いのではと思ったのです。
引っ越す日まであまり日にちが無く、急いでなにもかもが進められていきました。
本当に、住宅メーカーの方にはお世話になりました。
引越してきた日のことは、今でも忘れられません。
主人が一人で真新しい6畳の小さな和室で待っていました。
まだカーテンも無い状態でしたので、中が丸見え。
主人は、トラックに乗ってきた私を見つけてニコニコしていました。
シミも傷も一つもない我が家。
空気も澄んでいて、正に「スタート!」を思わせるものでした。
今は、あちこちに傷やシミがいっぱい。
壁には、子供の落書きの跡も見られます。
床には何かを無理やり引きずった跡もたくさんありますし、ダイナミックに掃除機を振りまわして掃除したおかげで、壁紙がはがれてしまったところもあります。
あの頃とはかなり違う今の状態。
でも、我が家らしい記録です。
定年したら移住する予定なのですが、それまではここで日々を丁寧に噛みしめて暮らして行きたいと思っています。
マイホームは、どんなに小さくても古くても不便であっても、やっぱり良いものだと思います。
まるで一冊の大きなアルバムのよう。
家の中には、あの時やこの時の色んな思い出がしっかりと刻まれれているのです。
家で大切なことについて
子供の頃、お金を稼ぐのがこんなにも大変だということを知らなかった私は、豪邸に憧れていた。
警備会社が入っているような、首相官邸みたいな豪邸。
友人がセレブで大きな家に住んでいたせいもあり、私もそんな家に住みたいなどとうつつを抜かしていた。
誰もが夢見ることかもしれないが、屋上にプールがあったらいいなとか、廊下が吹き抜けになっていたらいいな、とかそんな夢のような話だ。
100坪あったら嬉しい。
なんて今考えると大層ばかばかしい。
大人になった今では、大きな家は維持費がかかるということや、光熱費、固定資産税なんかも色々大変なことがわかってきた。
それに、掃除も大変だ。
全部の部屋を日替わりで掃除していたら、一周するころには最初の部屋がほこりまみれだ。
だったらそこまで地価が高くない郊外、適当な広さの物件で、そして都心にでるのに交通の便がよく、せいぜいペットOKのところだったらばんばんざいである。
一軒家だろうがマンションだろうが、自分の城を持つということは実に大変なことなのである。
子供の頃の自分が今の自分の現実を知ったら嘆くだろうか。
夢がない、と言うだろうか。
けれども、小さな家であれば家族が集まるし、それこそアットホームでこんなに幸せなことはない。
家はあくまでも入れ物であって、大切なのは中身である。
そんな中でも理想を言わせてもらえるならば、夏にはみんなでビールを飲める庭か、少し広いベランダがあったらよい。
縁側か濡れ縁でもいいか。
家族や友人が集まれる場所があれば、どんなに狭い家だったとしても、それは最高にいい家といえるのではないだろうか。