今、ネットバンキングにおける詐欺が横行しているようだ。
知らない間に自分の口座から引き落とされていたりするらしい。
各金融機関からも、ネットバンキング詐欺に対する注意喚起の連絡が入る。
便利な時代をつくってくれるIT系の技術者がいれば、それに対抗する犯罪も巧緻になって困る。
特に最近は、色々な詐欺まがいのものがネット上で本当に多く見られる。
職場のメールボックスでさえ、日を越すととんでもない量の迷惑メールが入っている。
大抵はあからさまに胡散臭いものなのだが、ごくごくまれに、はて、と思うものがまぎれている。
先日、差出人が知人のメールが届いた。
何だか緊迫した様子で、海外に仕事で行ったのだけれど、現地でパスポートやお金すべてをすられて立ち往生している。
とりあえずまだ滞在しているホテルにいるのだが、宿泊費が払えず困っている。
申し訳ないのだけれど、送金してもらえないだろうか。
その締めの文句がまた良い。
海外で心細く、どうしていいかわからない私の気持ちを察してください。
これを読んだとき、若干の胡散臭さを感じたものの、知人の名前だし、本当にこんな状況だったらなんてかわいそうなのだろう。
そう思って、大丈夫なの?というようなことを聞こうとしたが、ふと気がついた。
全文が英語だということに。
ちなみにその知人は日本人だ。
海外にいて、現地のパソコンや携帯では日本語が打てないということは聞いたことがあるが、それならば日本人が日本人に宛ててメールする場合、ローマ字で打つだろう。
何故果敢にも英文で送ってきたのだろうか。
そして、控えめな日本人が、「私の気持ちを察してください」なんていう直接的な表現を使うだろうか。
考えるほどに不審が募ったので、もともと知っていた本人のアドレスにメールをして安否確認をした。
すると、なんてことはない、本人は至って元気に、何の問題もなく暮らしていた。
あの時のことは忘れない。
生まれて初めて流行の詐欺にひっかかるところだったのだから。