大食い選手権のひとびと

よくテレビで大食い選手権なるものをやっている。
夕方のニュース番組の途中、ちょうどお腹がすくころになってそんな特集をしたりしている。
大食いと言うのは一昔前にも流行ったやつだが、当時は本当にとにかく何でもかんでも無理やり詰め込んで、どれだけ身体にはいるか、ということを競っていた。
だから身体を壊してとても問題になっていた。

それからしばらくはなりを潜めていた大食い熱だが、最近ではもっぱら定着した感がすらある。
特に最近の大食いの人たちと特徴というのは、一様にみんな美味しそうにものを食べる、ということ。
食べ方もきれいで、見苦しい気持ちにならない(まあ、中にはいないこともないが)。
それどころか、美味しそう、食べたい、と思わせてくれることもしばしばだ。
そんな人たちを見ていて実に不思議なのが、普段の食生活である。
ラーメンやとんかつを20杯も30杯も平らげてしまえる驚異の消化力を持つ彼らは、毎日何を食べて生きているのだろうか。
もちろん、そんな食生活を毎日出来るわけがない。
健康うんぬんよりも、まずは財布が持たない。
一ヶ月も続けたら食費は一体そんな恐ろしいことになってしまうのだろうか。
だから、きっと我慢をしているに違いないと思う。
それも、普通の人がおなかがすいたときにする我慢とは、全くレベルが違うはずだ。
一体どんなスピード感と規模感で空腹が襲ってくるのだろう。
考えただけで切なくなる。
食べたい気持ちを抑える、というのは生き物としてとても辛いことだ。
沢山食べられる、という体質が、どうか彼らを不幸ではなく、幸せにすることを切に祈る。